見ると、弓道部の人たちの拍手だった。
園宮くんが弓を下ろし、礼をしているところを見ると、とてもいい一矢だったのだろう。
 
見たかったなぁ、と心の中で呟いたことで、私は小刻みに頭を振った。

彼はみんなのヒーローだ。
こういうふうに、少し離れたところから眺めて、時々委員長副委員長として話したり成績の話をしたりするくらいで十分だ。
それだけでも、他の女子にとっては羨ましがられるくらいなのだから。
 
その時、カシャッと小さな音が響いた。
その音の出どころであるソファーのほうを振り返ると、スマホを掲げたのをパッと下ろす相良くんが目に入る。

「え? なに撮ったの? ていうか、寝てたんじゃなかったの?」
「うん、寝てた。寝てる」
 
そう言って「ぐー……」とわざとらしく寝息の真似をする相良くん。