月曜日の放課後。

先週金曜にピアノ教室はあったものの、美月との付き合いで木曜に来れなかったことで五日ぶりに旧音楽室に足を踏み入れた私は、いつもと違うその空気に、ドアを開けたままで「ん?」と首をかしげる。

「あ、そっか。窓が開いてないから……」
 
いつもはすべての窓が全開になっていて、外からの風がよく通っているからだ。
今日は相良くんがまだ来ていなかった。
 
そっか……。
毎回、相良くんがちゃんと窓を開けて風を通してくれてたんだな。

十月に入ったもののまだそこまで涼しくはないし、なにより半分物置部屋になっているこの部屋は、風を通さないと埃っぽいにおいがするので、私はひとつひとつの窓を開けて網戸にしていく。