そう言って見せてくれた絵は、クレヨンの色を全部使ったんじゃないかってくらいカラフルで、不ぞろいな幾何学図形が弾けたような、元気をもらえる絵だった。私みたいに、景色を忠実に描いたものじゃなくて、桐谷先輩らしい、自由で光を放っているような抽象画。
「絵っていうか……色遊びって感じですね。でも、なんか、……なんだろう。ワクワクするっていうか、色が飛んだり跳ねたりして期待に満ち溢れてる、って感じがする。すごい、クレヨンなのに」
心から感動して、そのスケッチブックに吸いこまれるように見入る。
「…………」
桐谷先輩がなにも言わないので、会話がとぎれた。モンシロチョウがまた戻ってきて、私たちの前をフワフワ横切っていく。
「……なんかすごいね、水島さん。俺が言葉にできなくて“無題”にしてるのに、俺の言い表したいことドンピシャで言い当ててる」
間をあけて口を開いた桐谷先輩は、私を感心した目で見る。
「たまたまですよ。私の一方的な見方だし、抽象画って、ほら、感覚的なものだから」
「絵っていうか……色遊びって感じですね。でも、なんか、……なんだろう。ワクワクするっていうか、色が飛んだり跳ねたりして期待に満ち溢れてる、って感じがする。すごい、クレヨンなのに」
心から感動して、そのスケッチブックに吸いこまれるように見入る。
「…………」
桐谷先輩がなにも言わないので、会話がとぎれた。モンシロチョウがまた戻ってきて、私たちの前をフワフワ横切っていく。
「……なんかすごいね、水島さん。俺が言葉にできなくて“無題”にしてるのに、俺の言い表したいことドンピシャで言い当ててる」
間をあけて口を開いた桐谷先輩は、私を感心した目で見る。
「たまたまですよ。私の一方的な見方だし、抽象画って、ほら、感覚的なものだから」