舞川さんが瞬時にこちらを向いた。わずかに遅れて桐谷先輩も。シン……と静まり、凍りつく空気。美術準備室のふたりからも、振り返ると美術室のみんなからも、注目の的は……私、だった。
「…………」
……え? あれ? ……私、今……。
「っあ」
突如、今までになく顔に血と熱が集中した。まっ赤になって、
「ちがっ、違いますっ。あの、す、すみませ……、ごめ、ん……なさ……」
とあとずさりし、しどろもどろになりながら弁解する。
ダメだ。蒸発してしまいたい。なぜだか目頭が熱い。動悸も激しい。自分が自分じゃないみたいだ。
「……水島さん」
美術準備室の中からゆっくりとこっちに向かってくるのは、桐谷先輩。その静かな声で、稲妻に打たれたような緊張が走った。
「…………」
私は、さっきの”ダメ”発言の真意を問われるのが怖くて、そしてそれを言った自分の気持ちに向きあうのが怖くて、きゅっと下唇を噛む。
じっと私を見たままで、目の前まで来た彼。頭を傾けながら、やはりゆっくりと口を開けた。
「バスの時間、また過ぎてない?」
「ああっ!!」
またもや、私の声が美術室に盛大に響いた。
「…………」
……え? あれ? ……私、今……。
「っあ」
突如、今までになく顔に血と熱が集中した。まっ赤になって、
「ちがっ、違いますっ。あの、す、すみませ……、ごめ、ん……なさ……」
とあとずさりし、しどろもどろになりながら弁解する。
ダメだ。蒸発してしまいたい。なぜだか目頭が熱い。動悸も激しい。自分が自分じゃないみたいだ。
「……水島さん」
美術準備室の中からゆっくりとこっちに向かってくるのは、桐谷先輩。その静かな声で、稲妻に打たれたような緊張が走った。
「…………」
私は、さっきの”ダメ”発言の真意を問われるのが怖くて、そしてそれを言った自分の気持ちに向きあうのが怖くて、きゅっと下唇を噛む。
じっと私を見たままで、目の前まで来た彼。頭を傾けながら、やはりゆっくりと口を開けた。
「バスの時間、また過ぎてない?」
「ああっ!!」
またもや、私の声が美術室に盛大に響いた。