首をひねったままの状態で、彼女のところには行かずに、私の横で話す桐谷先輩。まるで、私なんて見えていないかのように会話が進む。
「ふーん。遥、もう帰れる? 遊ぼー」
「帰れるけど、ダルイ」
振り向いたまま顔を傾けて、頭をだらーんと倒す桐谷先輩は、心の底から面倒くさそうな顔をする。でも、彼女もそんな桐谷先輩など見慣れているかのように、顔色ひとつ変えず、
「ファミレスでご飯おごるから」
と、提案した。
「あー……」
「ねぇ、行こうよ」
「行く。ハラへった」
ガタン、と、私の横の席の椅子が音を立てた。そして、桐谷先輩は雑に画材を片付け、自分のバッグを肩にかける。
「じゃーね、水島さん」
ひらひらと指を動かしながら、私に薄く笑顔を向けてバイバイした彼は、スタスタと美術室を出ていった。
「ふーん。遥、もう帰れる? 遊ぼー」
「帰れるけど、ダルイ」
振り向いたまま顔を傾けて、頭をだらーんと倒す桐谷先輩は、心の底から面倒くさそうな顔をする。でも、彼女もそんな桐谷先輩など見慣れているかのように、顔色ひとつ変えず、
「ファミレスでご飯おごるから」
と、提案した。
「あー……」
「ねぇ、行こうよ」
「行く。ハラへった」
ガタン、と、私の横の席の椅子が音を立てた。そして、桐谷先輩は雑に画材を片付け、自分のバッグを肩にかける。
「じゃーね、水島さん」
ひらひらと指を動かしながら、私に薄く笑顔を向けてバイバイした彼は、スタスタと美術室を出ていった。