「勉強にはついていけてる?」
「……たぶん」
「“たぶん”て、なんのために塾に通わせていると……」
「ごちそうさま」

長くなりそうだったから、箸を置いて立ちあがる。そして空になった皿を重ねてシンクに運び、そのまま自分の部屋へと向かった。
今日、無断で塾を休んだうしろめたさもあったけれど、それ以上に、私はやっぱりお母さんとの会話が億劫だった。

実は美術部に仮入部中なんだ。今日、中学時代からの憧れの人に会ったんだ。それが実は男で、ものすごく驚いたんだ。バスも一緒で、私にしては珍しく男の人とけっこう会話したんだ。

そんな話、できない。私の成績と内申にしか興味のないお母さんには。