「また、美術室で」 家の前、手を振りながら先輩の姿が見えなくなるまで見送った私は、振り返って小さな照明に照らされた玄関扉を開ける。 「ただいまー」 お母さんと晩ご飯の匂いに迎えられながら、私は口の中で黄色い飴玉をころんと転がした。 【おわり】