夏休みは、今まで以上に長かった。大半は塾で、遊びといったら涼子と数回会ったことと、中野くんグループも交えて花火大会に行ったことくらい。あとはお盆に家族で田舎のおばあちゃんちに行っただけだった。
そんな中、3回くらい美術部に顔を出した。けれども、やっぱり3回とも桐谷先輩はいなかった。
『なんかね、見せたくない。水島さんには』
あんなことを言われたから、私はしばらくふさぎこんでいた。きらわれてはいないと胡坐をかいていたのに、その鼻をへし折られたような気持ちになっていた。
だから、美術部に顔を出したとき、会いたい会いたくないどっちの気持ちでドキドキしていたのか自分でもわからなかったけれど、やっぱりいなかったらいなかったで、ホッとする気持ちよりも残念な気持ちのほうが大きかった。
厄介だな、と思いつつも、やっぱり私は桐谷先輩に会いたいし、彼の絵が……見たかった。