翌日は終業式だった。
体育館での先生たちの長い話のあと、教室に戻ってクラスのホームルーム。それが終わると、開放感に満ちた雰囲気が一斉に教室を包んだ。明日からは夏休みだ。
午後から部活がある人たちは昼食を買いにいったり、固まってお弁当を食べ始めたり。その他にも話が盛りあがって残っている生徒がいるけれど、だいたいは足早に帰っていった。
「沙希は帰るの?」
「うん、今日はいいかな」
美術室は解放されているということだったけれど、私はなんとなく気が重くて帰ることにした。
「明日からはどうなるの? 美術部って」
「うーん、あるにはあるけど、夏期講習があるから、たまに顔を出すだけになるかも」
「おふ、頑張るね」
「毎日じゃないし、お母さんと約束してたから」
以前のままだったら、たぶん休みなくみっちり通わされることになっていただろう。今回はちゃんとお母さんと話し合って決めた。
部活があって残る涼子に手を振り、私はバス停へと向かった。