疑われている。そのことが、私の動悸を激しくさせ、犯人じゃないのに犯人に思われてしまいそうな反応をしてしまっている気がする。汗ばんだ手を握りしめ、「本当に違うんです」と、渇いた唇を開こうとしたそのとき。

「だれが、水島ちゃんを犯人にしようと仕立てあげたのかしら」

まり先輩が、神妙な顔で顎に手を当てて言った。

「水島ちゃん、大丈夫だよ。誰も水島ちゃんを疑ってないよ。でも、犯人がいるのは確かだわ」
 
まるで探偵のように前に出て眉間にしわを寄せるまり先輩に、他の部員たちもうなずく。私は力が抜けてしまって、ヘナヘナと腰を落とした。

「でも、なんで水島ちゃんの……」

そのとき、美術室の入り口のドアが開き、またすぐに閉まった。うしろ姿だけでわかったけれど、舞川さんだった。

「え? あれ? 舞川さん、どうしたの? なんか、すごく怒った表情で出ていったけど」

部長が目を瞬かせながら、私たちと入り口のドアを視線で往復する。
私は意味がわからないことが続いて、呆然としていた。