気付けば、私の目に溜まっていた涙も、ポタリとテーブルにひと粒落ちていた。着替えてからもポケットに入れていた、桐谷先輩からもらった葉っぱ。それをぎゅっと握り締める。

「……お母さん……」

私の声に、お母さんはなにも言わないし、こちらを向かない。両手をついて立ちあがった格好のまま、お母さんの顎に溜まった涙も、ポタリと落ちた。

「私、両立、ちゃんとするから」
「…………」
「それに、学校のこととか、勉強のこととか、部活のこととか、思ってることとか……、ちゃんと話すから……だから……」
「…………」
「失敗しても、間違っても、……自分がしたいことをする時間が欲しい」
「…………」
「……お願いします……」

ずっと認めてほしいって思っていたけれど、認めてもらうなにかは……自分で決めたい。

それは絵じゃないかもしれないし、まだ出会ってないなにかかもしれないし、もしかしたら一周回って勉強なのかもしれない。

でも、それを探すために、まずは一度自分で自由に考えたり実践したりしてみたいんだ。

……それがたぶん、今私がお母さんに一番訴えたかったことなんだ。