「葉っぱって……」
「なんか葉脈って、透かして見たら、指を精いっぱい広げている手みたい」

先輩がなにか言いかけたのと同時に喋ってしまった私は、あ、と思って先輩を見あげる。

「…………」

先輩はそのままなにも言わなかったから、私は、
「一生懸命っていうか、健気っていうか……なんか”生命力!”って感じがする」
と、言葉を続けた。

「…………」
「ハハ。想像広げすぎっていうか、ちょっとキモいですね。でも、なんか自分も元気もらえるっていうか……」

あれ? なに言ってるんだ私? と思ってはずかしくなり、照れ隠しに頭をかく。先輩がまだ黙ったままだから、どんどん顔も赤くなって、自分がいたたまれなくなっていく。

「……同じ」
「え?」
「同じこと言うとこだった」

ふ、と空気がやわらかくなった。先輩が小さく笑ったからだった。
「……同じ?」
「うん」

そう言った先輩と、しっかりと視線が交わる。思いのほか近い距離に今さら気付き、目を合わせたまま固まる。やわらかくなったと思った空気が、また張りつめた気がした。

「…………」
「…………」