白、赤、黄色、オレンジ、緑、青、紫。いろんな色をパレットに出して、思うままに絵筆を走らせる。久しぶりの感覚。これは…………そうだ。前に、桐谷先輩とハチャメチャなりんごを描いたときの感覚だ。
私は気持ちが前のめりになるように、イーゼルに立て掛けたスケッチブックにいくつもの色を置き始めた。
……でも。
「…………」
あれ……?
手が止まる。
描きたいと思った衝動は確かなのに、色を乗せながら、”楽しさ”とは異なるような違和感に気付いた。
違う、私が描きたいのはこんな色じゃなくて、もっと……もっと……。
心のほうが溢れて手に追いつかないあせり。時間は少ない。今日ズル休みしたら、お母さんからまた怒られて幻滅の目を向けられるのに。
「……っ」
なにか……胸のなかの淀んだものを色に出すように、私は喉の奥に苦さを感じながらも絵を描いた。絵と言えるんだろうか、ただ色を手当たり次第に出しては塗る作業。抽象画と言うのもおこがましい、さっき見た桐谷先輩の絵とは雲泥の差の落書き。
私は気持ちが前のめりになるように、イーゼルに立て掛けたスケッチブックにいくつもの色を置き始めた。
……でも。
「…………」
あれ……?
手が止まる。
描きたいと思った衝動は確かなのに、色を乗せながら、”楽しさ”とは異なるような違和感に気付いた。
違う、私が描きたいのはこんな色じゃなくて、もっと……もっと……。
心のほうが溢れて手に追いつかないあせり。時間は少ない。今日ズル休みしたら、お母さんからまた怒られて幻滅の目を向けられるのに。
「……っ」
なにか……胸のなかの淀んだものを色に出すように、私は喉の奥に苦さを感じながらも絵を描いた。絵と言えるんだろうか、ただ色を手当たり次第に出しては塗る作業。抽象画と言うのもおこがましい、さっき見た桐谷先輩の絵とは雲泥の差の落書き。