「沙希、今日も塾休んじゃダメよ。お母さん、信じてるからね」
「……はい」

そう言われて家を出て、バスに揺られて学校へ行く。サボりが発覚してから、毎日のことだ。今日は、前回の模試で平均点が取れなかった教科の追試があるから、言われなくてもちゃんと行く。

私は憂鬱な気分を息と一緒に吐き出して、バスの窓にコツンと頭を預けた。朝のバスで桐谷先輩と一緒になることはない。一便遅いバスに乗っているのだろう。

『あぁ、もういいから、あれ』
『べつに他の人でもいいわけだし』

この前の言葉が頭によみがえり、私は努めて意識をそらす。

今日は、金曜日だった。