私は失望していた。
お母さんに、よりも、なにも言えなかった自分に。
結局なにも変わっていない自分自身に。そしてそれが、先輩に嫌な思いをさせてしまったというやりきれない感情と混ざりあって、ぐちゃぐちゃになっていた。
晩ご飯は食べなかった。ベッドに突っ伏して、ぐちゃぐちゃな気持ちに沈むだけ沈んで、そして真っ暗な部屋にようやく照明をつけたとき、……思った。
桐谷先輩がわざわざバスを降りてきてまで、私のお母さんに説明してくれたんだってことを。謝ってくれたんだってことを。
「…………」
うちよりも遠い3丁目まで歩いて帰った先輩のことを思って、私は胸が熱くなるような苦くなるような、言い表しがたい気持ちになった。