自分の席に戻ると、待っていた涼子が、
「トイレ、長っ!」
と言ってきた。

「…………」
「沙希さん、ここは“女の子にそんなこと言わないでよっ”て赤くなって返すとこでしょ?」
「あぁ……うん」

そう言って机に突っ伏した私を見て、
「沙希、なんかあった?」
と頭をツンツンする涼子。

「んー……」
「便秘?」
「……桐谷先輩と舞川さんが抱きあってた」
「えっ!?」

「マジ!?」

涼子の声にかぶせて、男子の声も聞こえた。ガバッと体を起こすと、斜めうしろに中野くんがいて、その横に諏訪くんと是枝くんもセットでいた。ショックを引きずりながら教室に戻ったから、まわりが見えていなかった。

……まずい。