「……っ!」

数度目の既視感と衝撃。昨日私に絵を見てくれないかと言った人が、髪の長い女子生徒に抱きつかれている。

……って、……え!?

女の子は背を向けているので顔は見えないけれど、私には見覚えがあった。ゆるくカールしていて、少し茶色っぽい長い髪の毛。まるでお人形さんみたいな……。

「…………」

舞川さん……だ。

「沙希ちゃんには……言わないでください」

かろうじて聞こえた彼女のか細い声。ふいに出された自分の名前に、私は息が止まった気がした。なにも言わない桐谷先輩。彼は、舞川さんに密着されたまま、伏せていた目をゆっくりとあげる。

「…………」
「…………」

あ。

……合ってしまった。……目。

一番最初の出会いを思い出すシチュエーション。少したれた気だるそうな目が、これといって動じもせずに私を見つめている。

……あ……えっと……、とりあえず、この場をは、離れなきゃ……。

「うん」

——え?