さらに一週間ほど経った。

今日もけっこう強めな雨が降っていて、帰りのホームルームが終わって廊下に出た私は、濡れるからバスの時間までここにいようと、窓から校門のところをぼんやりと見ていた。

「なんか、落ちてない?」

帰る人、部活に行く人、喋っている人。いろんな生徒が廊下を行き交い、ざわついている中、窓際の私の斜めうしろから、声が聞こえた。振り返ると、諏訪くんが部活のバッグを肩に掛けながら、片眉をあげて突っ立っていた。

「ビックリした。なにが落ちてるって?」
「水島の気分」
「……面白くない」

斜めうしろから横に来た諏訪くんは、窓へ向いている私とは逆で、桟に背を預けながら再度こちらを見る。

「幸薄オーラ、ハンパないぞ」
「うるさいし」

諏訪くんを軽くにらんだ私は、また雨のほうへ視線を戻す。

「塾であった模試の結果が、思うような結果じゃなくて……さ」
「模試? 高1だし、そんなん気にしてたら、受験生になったときハゲてるぞ」
「やめてよ」

ただ純粋に成績が悪かったから落ちこんでいるんじゃない。お母さんに、やっぱり勉強に専念しないと結果が出ない、的なことを言われ、美術部に通っていた私に対して“それみろ”と思われたことが嫌だった。