今朝と同じ部屋に招き入れられ、最初に目についたのは橙色の炎の揺らめき。生まれて初めて見る、薪ストーブだった。
心地よく温められた室内には、古木でできた棚とベッド。テレビはなく、代わりにあるのはブリキのバケツや、無数の小瓶、赤や青の錆びたガラス玉――
はっきり言ってガラクタばかり。
「急に怒鳴られてビックリしただろ。勝也さん、短気だから」
むくの木の床にペタンと座り、彼が言った。わたしはうなずき、そして疑問に思ったことを尋ねた。
「あの人もここに住んでるの?」
親子、ではないと思う。年齢が離れすぎている気がするし、何より“勝也さん”って名前で呼んでいるから。
「うん。この家の持ち主。俺は少しの間だけ泊めてもらってるんだ」
泊めてもらってるということは、この町の人じゃないんだろうか。どこから来たんだろう……。
無意識にそんな好奇心が湧いたのは、たぶん、彼の特別なルックスと、どこか浮世離れした雰囲気のせいもあると思う。
触るとやわらかそうな金色の髪。それとは対照的に真っ黒の瞳は、けれど光の角度によって淡いグレーのようにも見える。
赤ちゃんみたいな小ぶりな鼻に、きゅっと上を向いた口角。
かわいいという形容詞がしっくりくる顔立ちは、同じ学校にいたらさぞかし女子がうるさいだろう。