「昔は、よくここで暗くなるまで遊び回ったよな」

「え?」

「久しぶりだし、ちょっと遊んでこうぜ」



何を言い出すかと思えば、そんなこと。

だけど、その誘いを断る気になれなかったのは、瞬間的に、もしかしたらこれが最後になるかもしれないと思ったからだった。

もしかしたらカズくんと、こんな風に話せるのも、これで最後かもしれない。

思い出の詰まったこの場所で、同じ時間を過ごせるのも、本当に、これが最後になるかもしれないから。



「……いいよ。少しだけだからね」



照れ隠しも込めてそう言えば、カズくんは小さく笑いながら、「おう」とだけ、短い返事をくれた。