「あれから、俺なりに考えて……ミウが話したくないなら、無理矢理聞き出す必要もないかと思ったんだけど」

「え……」

「もし進路で悩んでるなら、俺だって話を聞くことくらいはできるからさ。俺で良ければ、いつでも相談しろよ」



一瞬、4日後のことを言われるのかと思って、ドキリとした。

けれど、カズくんの口から出たのは進路の話で内心ホッと息を吐く。

それは、そうだ。まさか、私が4日後に死ぬなんて、さすがのカズくんでもそんなことまではわかるはずもない。



「俺に遠慮とかする必要ないからな。そんな間柄じゃないだろ、俺たち」



カズくんは昔から、本当に優しくて頼りになる幼馴染だ。

小さい頃は、そんなカズくんが私の自慢だったし……それは、今でも変わらない。

だけど、昔と今では違うんだ。

私たちは、もうあの頃とは違う。

何も知らない、夢ばかりを見ていたあの頃とは違うから─── いつの間にか、無邪気に自分の夢を口にすることはできなくなった。

私は、臆病者だ。

そんな自分を、自分とは真逆の、真っ直ぐに夢に向かっているカズくんに知られてしまうのは……恥ずかしい。


「…………」


つい俯いて沈黙を作れば、頭の上から小さな溜め息が落ちてきた。

ビクリと肩を揺らしてから顔を上げると、どこか呆れたような表情で私を見るカズくんと目が合う。

それになんと返事を返したらいいのか迷っていると、カズくんは突然、顎で近くの公園を指した。

そこは家が近所で幼馴染の私たちが小さい頃、よく一緒に遊んだ公園で、もう何年も二人でなんて行った覚えのない場所だ。