「…………途端に、不便な能力ですね」
「……うん。まさに、美雨が言う通り」
言いながら、腕に顎を乗せたままこちらを見て、他人事のように笑った雨先輩に胸の奥が針で刺されたように痛んだ。
残された、あと4日。
もしも私がこの世界から消えてしまったら、その先の未来でも雨先輩は、たった一人、この場所で空を見上げ続けるのだろうか。
たった一人、この場所で自分を卑しめ続けるのだろうか。
「そろそろ、昼休みも終わるね」
投げられた言葉に、ゆっくりと顔を上げた先。
頭上に描かれていた飛行機雲は、いつの間にか跡形もなく消えていた。