「……私の話しは、いいよ」
「え?」
「そもそも……もう今となったら、進路の話すら意味のないことだし」
握り締めていた拳を解いて、ゆっくりと顔を上げた。
窓から差し込む太陽の陽が、私の足元に光の水溜まりを作る。
私の手の中には何もない。今の私には何もない。
夢も希望も未来も……私には、もう何もないんだ。
「心配してくれて、ありがとう。でも、ホントに、もういいの」
そう言って笑顔を見せれば、視線の先には驚いたような顔で私を見るカズくんがいて、なんだか少し申し訳なくなってしまった。
……ごめんね、カズくん。
まさか、こんな嘘みたいなこと言えないんだけど、本当に、私にはもう進路とか夢とか、まるで意味のないことなんだ。
だって、私、もうすぐ死ぬみたい。来週の月曜日に、死ぬんだって。
今日が木曜日だから、あと4日。
あと4日で……私はこの世界からいなくなる。