『カズくん、私ね!将来は─── 』


遠い日の自分が、満面の笑みを浮かべながら叫んでる。

まだ見ぬ未来を思い浮かべて、楽しそうに笑ってる。



「ミウ?」

「─── っ、」



だけど私は、急いでそれを頭の中で打ち消すと、声を砕くように奥歯を強く噛み締めた。

……ダメだよ、もうやめようって決めたのに。

締め付けられたように痛む喉。

私も、子供の頃はカズくんや、カズくんの同級生の男の子たちと同じように、自分なりの夢を抱いていた。

子どもの頃は、夢は叶って当たり前のものだと思っていたし、" いつか自分の夢は叶う " ということを疑ってすらいなかった。

だけど、ある分岐点で、夢を現実のものにするのは容易なことではないと気付いてしまう。

夢を叶える為には、必要なものがたくさんある。

やらなきゃいけないことが、山ほどある。

乗り越えていかなきゃいけないことばかりだ。

結局、私もカズくんの同級生たちと同じ。

現実という壁に突き当たり─── 握り締めていた夢を、手放したのだ。