だけど、足元さえ見えず、瞼の裏に世界を閉じ込めた私に、突然そんな声が聞こえた。

弾かれたように後ろへ振り向けば、いつからそこにいたのか……扉の前に、一人の男の子が立っている。



「きみの未来、俺には見える」



その声は、とても鮮明に、心を揺らす。



「ねぇ、聞いてる?」



風が吹くたびに、ふわふわと揺れる黒髪。

背は……私よりも頭一つ分高いくらい。

迷いなく、真っ直ぐに向けられた切れ長の目は彼の清廉さを際立たせ、一度捕らえられてしまえば目を逸らすことは叶わなかった。

凛とした空気の中で、彼が纏う空気だけが曖昧で。確かにそこにいるのに、そこにいないような印象を与える、とても不思議な人だと思った。

理由は、たった今投げられた彼の言葉の意味が、よく理解できないせいなのか……

それとも、彼自身が、そう思わせる何かを持っているからなのか。