「……ありがとう、ミウ」

「え……?」



けれど、俯いてしまった私の顔を持ち上げるように、再び強く、風が吹く。

顔を上げた先、視線の先のユリは微笑んでいて、思わず目を奪われた。

足元に散らばる銀杏の葉が舞い、風に踊る。

黄金色に歌うそれは、サラサラと世界に優しい音を奏でた。



「……私ね、ミウと話してから考えたの」



ぽつり、と。零すように紡がれたユリの言葉の続きはきっと、昨日の話。

『ねぇ、もしも、自分が一週間後に死ぬって言われたら、どうする?』

そんな空想に、二人で膝を突き合わせた時のこと。



「家に帰ってから……もし、私があと一週間で死んじゃうとしたらね。一番、何がしたいのかって考えたんだ」

「……うん、昨日も言ってた」

「そう。やりたいことの中で、私が一番、やりくないことは何かなって考えた……って言った方が正しいかな」

「やりたいことの中で、一番、やりたくないこと……?」