「雨先輩、なんで急に、そんなこと─── !!」

「いいの、ミウ……!わかってたことだから!!」



感情のまま、雨先輩に詰め寄れば、温かい手に腕を強く引かれて身体が止まった。

振り返れば、目にいっぱいの涙を溜めたユリが、私を真っ直ぐに見つめている。



「…… ユリ?」

「私は大丈夫、全部、ちゃんとわかってたことだから……アメ先輩の言う通り、予想してたことだから……」



震える声。段々と小さくなった語尾にも涙が滲んでいて、どうしようもないくらいに胸が締め付けられた。

けれど、それとは対照的に、雨先輩へと詰め寄ろうとした私の腕を掴んだユリの手は力強い。

揺るぎない意志が、掌から私の心にまで深く、深く届いて染み入るように私を止める。



「アメ先輩に、占ってもらわなくても……わかってたことなの……」

「ユリ……」



足元に視線を落として、自分に言い聞かせるように言ったユリの肩は震えているのに、涙は瞼の線を越えない。

それが無性に切なくて、苦しくて。

胸の奥が刺されたように痺れて、私が代わりに泣きたくなった。