「私は今、残された毎日を大切にしたいと思ってます」
「美雨、」
「だから私は、この一週間、大切な人が悲しむ姿を見たくない……」
強く、強く手を握って、精一杯顔を上げた。
さっきまで眩し過ぎると思っていた空には、私たちを見守るように太陽が輝いていて、その力強さに笑みが零れる。
「大切な人に、笑っていてほしいんです」
そう言えば、どうしてか雨先輩は、今にも泣きだしそうな顔をしてから俯いた。
遠くで、お昼休みの終わりを告げるチャイムの音がする。
始まった、最後の一週間。
私に残された、最後の時間。
掛け替えのない日々に、私はこれから何を残すことができるだろう。