「─── っ、」



再び、強く手摺りを握って。深く、深く、息を吸った。

ゆっくりと顔を上げて、空を眺める。どこまでも続く、広く、尊い青── 蒼。

そのまま視線を横に滑らせると、相変わらず心配そうに私を見ている雨先輩と目が合った。

そんな顔で私を見るくらいなら、最初から私の未来なんて見なければ良かったのに。

関わらなければ良かったのに。

そう考えると雨先輩は、優しい人なのかもしれない。未来のない私の未来を見てしまって、そんな私を放っておけずに、ここにいる。

無関係な私のために、何かできることはないかと考えてくれている。



「本当は……こんなことになるなら、未来なんて知りたくなかったです」



苦笑いを零しながらも、あっけらかんと、そう言えば、雨先輩の顔が辛そうに歪んだ。



「でも……知れて良かったとも思ってます。だって、そのお陰で私は残りの一週間を大切にできるから」

「え……」

「雨先輩の、お陰です。先輩が未来を教えてくれたから、私は残された毎日を、悔いのないように必死に生きられる……かもしれません」



えへへ、と、小さく笑えば雨先輩が驚いたように目を見開いた。

足元を風が駆け抜けて、スカートの裾をふわりと揺らす。

これからの一週間。たった一週間で、私に何ができるかなんてわからないけど、それでも。