突然の、雨先輩の言葉に思わず固まった。

そうすれば、どこか寂しそうに、切なそうに笑った雨先輩は……「じゃあ、美雨の話に置き換えようか」と、言葉を探しながら丁寧に声を紡いでいく。



「美雨の一週間後……今からだと、5日後の未来に起こる出来事は、どんなに避けようと思っても、必ず起きてしまうってこと」

「……」

「その日、美雨が家の中に引き篭もることで、なんとかして、最悪の未来を避けようとするだろ?だけど、そうやって無理矢理避けようとしても、最悪の未来を起こすために美雨を家の外に引きずり出す " 何か " が起きる」

「……っ、」

「美雨が制服を着て家の外に出て、雨の中、最悪の未来が起こる場所に行かなきゃいけない " 何か " が」



思わず、背筋がゾッとした。

今、この瞬間でさえ、私は心のどこかで、自分が一週間後に死ぬのだということを信じ切れずにいた。

雨先輩の話が全部嘘だとか、もしかしたら未来予測が外れるかもとか、そもそも悪い夢でも見てるのかも……とか。

それに、たった今、雨先輩が言った通り。

もしその時が来たら、制服を着ないで一日中家の中に閉じこもっていれば、最悪の未来は起こらずに済むんじゃないかとも思ってた。

だけど、その僅かな希望がたった今、一蹴されたのだ。


─── 未来を、変えることはできない。


それは文字通り、雨先輩だけでなく、私にも言えることなのだと。