ゆっくりと、流れる雲。
こうしている間にも一分、一秒と時も流れて、現在は未来へと姿を変える。
綺麗な雨先輩の横顔を太陽の光がなぞって、思わず目を奪われそうになった私は、逃げるように視線を手元に落とした。
……言われなくたって、わかってる。
雨先輩の言う通り、私がしようとしていることが有難迷惑なお節介だってこと。
ユリからすれば、余計なお世話だってこと。
「……それでも、ユリのために、何かしたいと思ったんです」
雨先輩にバレないように、冷たくなった指先に力を込めた。
ユリが今日の放課後、ハヤテくんに告白するという話を聞いてから、私だって私なりに精一杯考えたんだ。
どうしたら、少しでも、ユリが傷付かずに済むだろうか……って。
そしたら自然と足は屋上へと向かっていて、雨先輩の前に立っていた。
" 私の友達の未来を見てください "
澄んだ空気に通った声に、雨先輩が驚いて目を見開く。
例え、これが余計なお世話だと言われて、ユリに怒られたっていい。……嫌われたっていい。
もしも本当に、私に残された時間が、あと一週間だというのなら。
あと一週間しか、ユリの隣にいられないのだとしたら。
私は大切な親友が悲しむ姿を……見たくない。