叶わない恋。叶わない想い。叶わない願い。

その先には " 未来がない " のに諦められず、ただ想い続けるだけなんて、こんなに悲しいことって他にないよ。



「あ、あのね、実はね……」



上履きを履いてから、数歩、歩を進めたところでユリが唐突に足を止めた。

併せて歩みを止めれば、ユリは視線を下に落として言葉を探している。



「昨日ミウと話したあとに、ずっと考えてて……」

「うん?」

「ほら、もし自分が " 一週間後に死ぬ " って言われたら、どうするかって話……」

「え……」

「あの時……私が言ったこと、覚えてる?」



突然の言葉に、一瞬声を詰まらせて。昨日の会話を頭の中で繋げて並べた。

けれど、真っ先に浮かんできたのは、 " 美雨は、一週間後に死ぬ " と言った─── 雨先輩の、言葉。

『自分には未来は見えても、変えることはできない』とか。

『自分の手で、自分が見た未来を変えてしまったら、自分は力を失って世界から消えてしまう』とか。

何もかもが絶望の雨に濡れた、無慈悲な言葉たち。