「もしかして……ハヤテくん関係?」

「えっ!?」



一番最初に頭に浮かんだ候補を口にすれば、ユリは弾かれたように上履きに落としていた視線を上げた。

あっという間に真っ赤に染まる顔。答えを聞かなくとも、私が図星を突いたのだとわかってしまう。



「な、なんでわかったの……?」

「えー。だって、今日のユリ、本当に可愛いし。そもそも、ユリがメイク頑張る時って、大抵ハヤテくん関係だし?」



ニヤリと笑いながら真っ赤なユリの顔を覗き込むと、ユリは両手で自分の頬を覆った。


" ハヤテくん " 、というのはユリが高一の頃から片想いをしている隣のクラスの男の子だ。

バスケ部のキャプテンで、学級委員長も務めているクラスの人気者。

文武両道、爽やかな外見、明るい性格……と、三拍子揃えば女の子にモテないわけがない。

彼に片想いをしている女の子は数知れず、ユリもその中の一人というわけだ。