「証拠、って……。未来が見える、っていう証拠をってこと?」
「……っ、」
ほら、思う壺だ。また当然のことのように、未来が見えるだなんて口にした先輩は、可愛らしく首を傾げて私のことを見た。
つい、イライラして、我慢できなくて、馬鹿な質問をしてしまった自分を今度こそ殴りたくなる。
こんな話、さっさと切り上げて逃げるのが、正解なはずなのに。
「それじゃあ、美雨のこのあとの未来を─── 」
「私の未来は、もう結構ですから……っ!!」
慌てて声を張り上げれば、再び先輩が目を見開いて固まった。
「や、あの、もう、私の未来を見てもらうのは怖いので、見てくれなくていいです……」
「ああ、それもそうか」
それは、ある意味本音だったけど。
どう考えたって、その場凌ぎの私の言い訳に「確かにそうだよな」なんて頷いた先輩を前にして、思わず溜め息が零れそうになった。
この人って、本当にどんな神経してるんだろう……
やっぱり、火のないところに煙は立たないって本当だ。
こんな変な人だから、過去に何か、悪い噂を囁かれるような出来事があっても可笑しくないと思えてきた。