「ごめん、もしかして、また傷付けた……?」
涙を零すように紡がれた言葉は、私の心に深く、深く、突き刺さった。
傷付けたかと聞かれたら、私は傷付いてはいないと答えるだろう。
身体を蝕むのは、言いようの無い虚無感だった。
思った以上に、私は、雨先輩の悪い冗談で心が疲れ始めているらしい。
それは、そうだ。これだけしつこく、お前は一週間後に死ぬのだと言われたら、投げやりにもなってくる。
正直、もうこれ以上、雨先輩と関わり合いを持ちたくない。
「傷付いては、ないです。だから、もう放っておいてください……」
そう言って雨先輩を見上げれば、彼は何故か悲しげに瞳を揺らした。
まるで、自分が傷付いたとでも言いたげに。だけどもう、そんなことはどうでも良い。
とにかく今は、少しでも早く雨先輩から離れたかった。
少しでも早く、この冗談みたいな事態から逃れたかった。