「でもさぁ、実際、あと一週間後に死ぬって言われたらビックリするし、ショックだよね」
「……だよね」
ふわり、と。迷い込んだ風が、教室を彩るモスグリーンのカーテンを揺らす。
11月の風は、肌を乾かすくらいに冷たく、時に心地よさを感じる程には気持ちが良い。
ユリの言葉通り、雨先輩に『一週間後に死ぬ』と言われた時には驚いたし……すごく、ショックだった。
だって、一週間後に死ぬなんて。
私はただ、一週間後の自分が進路表に何と書いて提出したのかを知りたかっただけなのに、まさか死ぬと言われるなんて思うわけがない。
「私だったら、どうするかなぁ。お小遣い使い切るために、食べたいもの全部食べて……ミウや友達と遊びまわって、プリクラもたくさん撮ってー。それで最後に……好きな人に、告白するかなぁ」
「え……」
「だって、死ぬ前に、やりたいこと全部やっちゃいたいじゃん。そうしないと、悔いが残りそうだし」
あっけらかんと、笑いながら言うユリの言葉に、思わず目を見開いた。
死ぬ前に、したいこと。
確かに、自分がもう少しで死ぬとわかっていたら、やりたいことや今まで我慢していたこと、全部やってしまいたいと思うのかもしれないけど。