「─── っ!!」

「……え?」



けれど昨日と違うのは、雨先輩の反応だった。

真っ直ぐに私の目を見つめていた雨先輩は、突然、慄いたように一歩後ろへ足を引いた。

目を見開いたまま固まっている彼を前に、思わず困惑の声が零れ落ちる。

そんな私にも気付いているのかいないのか……雨先輩は視線を左右へ彷徨わせると、何かを躊躇っているように俯いた。



「雨先輩、あの……?」

「……見えなかった、けど、見えた」

「え?」

「見えた、けど……見えなかった」



何を、言ってるの?

まるで、言葉遊びをしているように視線を動かす雨先輩は、覚束ない口ぶりで相変わらず視線を彷徨わせたままだ。

けれど次の瞬間、ゆっくりと。

ゆっくりと顔を上げたかと思えば、思いもよらないことを口にする。