「じいちゃんが、ばあちゃんを大切な人だと言ったみたいに……俺にとって、美雨はもう大切な存在だから」

「なっ、」

「多分、好き。……いや、俺は、必死に未来を探している美雨のことが、好きだ」


いつの間にか止んだ雨。

雨上がりの空を見上げれば、その向こうでトキさんが微笑んでくれているような気がした。

空の彼方。ようやく再会出来たであろう二人が、笑顔で私たちを見守ってくれている。

雨宿りを終えた私たちを見て、きっと優しく微笑んでくれていると、そう思う。


「そんなこと言って……未来なんて、どうなるかわからないじゃないですか」

「うん。未来は……見えないものだからね」


照れ隠しで空を見上げたままそんなことを呟けば、春の風が吹くように、隣で彼がとても優しく微笑んだ。