「俺の方こそ……美雨に、謝らなきゃいけないことがあるんだ」
言いながら、瞳を揺らす雨先輩。
思わず目を見開けば、先輩はやっぱり困ったように微笑むだけ。
私に、謝らなきゃいけないこと?
先輩が私に謝らなきゃいけないことなんて、ないでしょう?
思ったことが、そのまま顔に出ていたのかもしれない。一瞬何かを躊躇して、それでもまた意を決したように息を吐いた先輩は、私の手を静かに掴んだ。
「─── そもそも、最初から、美雨は死ぬわけじゃなかったんだと思う」
「………………はい?」
「一番初めに、美雨の未来を見ただろ? その時に俺が見た、美雨の未来。あれがそもそも、間違った解釈だったんだ」
一瞬、何を言われているのかわからなくて。思わず固まったまま、動けなかった。
私が死ぬ未来が、間違っていた? そもそも、私は死ぬわけじゃなかった?
本当に、雨先輩は一体、何を言ってるんだろう。