* * *
「ミウ! 検査結果は、どうだった!?」
午後、教室に着くなり私を見つけて駆け寄ってきたユリに、思わず手を振った。
そんな私を見て唇を尖らせるユリは、純粋に私のことを心配してくれていたのだろう。
「大丈夫だったよ。そもそも、怪我は打撲だけだし。事故があった時は脳震盪を起こしたけど、それは一週間前に退院する時にも、もう問題ないだろうって言われたし」
「そっかぁ〜! ああ、もう、ホントに良かった!!」
ギュッ、と、言葉と同時に抱き着いてきたユリの身体は温かかった。
その温もりに、私は心の底からホッとする。
私は、今も生きている。死ぬと言われた未来を越えて、今という未来を生きているんだ。
─── それは、大きな犠牲の上で。
私の命は、大きな犠牲の上で未来を生きることを許されたのだ。