「美雨…………っ!!」


─── 土砂降りの雨の中。突然、私を呼ぶ声が聞こえた。

最後の曲がり角を曲がって、あと一つ道路を渡れば、もう学校は目の前というところ。

思わず足を止めて、声がした方へと目を向ける。

するとそこには私と同じ透明の傘を差し、唖然とした表情で私を見る雨先輩が立っていた。

駆け寄って、手を伸ばせば届く距離。


「雨せんぱ─── 」


─── 雨先輩。

けれど、私がその名前を呼ぶより先に、耳を劈くようなブレーキ音が辺りいっぱいに響き渡った。

視界に映ったのは、大きな、黒い塊。

私に向かって突進してくるトラックの運転手さんが携帯電話を耳にあてながら、歩道に立つ私を見て驚愕に目を見開いた。

ああ、そうだ。私は─── 私の未来は、ここで。

ぼんやりと、その光景を他人事のように受け止めながらも、私は精一杯声を張り上げる。