「…………ああ、そっか」


靴を履き終え、玄関扉に手を掛けたところで、不覚にも気が付いた。

『無理矢理避けようとしても、最悪の未来を起こすために美雨を家の外に引きずり出す " 何か " が起きる』と言った、雨先輩の言葉を。


「何か……って、これだったんだ」


やっぱり、雨先輩の予報は外れない。

心の中でそんな言葉を零しながら、小さく笑みを零した私は傘立てから透明のビニール傘を取り出した。

降りしきる雨。

それはまるで、外に出てきた私を嘲笑っているかのようで嫌になる。

その雨を薙ぎ払うように空に向かって傘を広げると、私は雨の中を弾けるように駆け出した。

私はやっぱり、最後まで走るよ。

雨の中。私は切れる息も忘れたように─── 必死に、制服姿で走り続けた。