《トキさんが、危篤なの!! それで、ソウくんに連絡を取りたいんだけど、朝から全く捕まらないのよ!!》

「……え?」


雨が、激しく窓を叩いている。

責め立てるように、強く、強く、叩き続けている。

トキさんが、危篤? そんなの、嘘だよね?


《学校に電話したら、朝は出席確認できたけど、今はどこにいるのかわからないって……確認できたのは朝のホームルームの時間だけで、今日の授業は一度も出てないみたい》

「そんな……」

《それで、もう学校からの連絡を待ってても埒が明かないから、ミウに電話したのよ! もしかしたら、ミウならソウくんがどこにいるのかわかるかもしれないと思って……!》


ドクドクと、早鐘を打つように高鳴る心臓。

ギュッ、と。パジャマの胸の辺りを握り締めるように強く掴んだ。

トキさんが、危篤。雨先輩が、捕まらない。

混乱する頭の中で、精一杯状況を把握する。


《ねぇ、ミウ、ソウくんがいるところに心当たりない!? 学校内で、ソウくんが行きそうなところとか、ミウなら知ってるんじゃない!?》

「……っ、」


お母さんの、その言葉に " ある場所 " が、頭の中に鮮明に浮かんだ。

学校内で、雨先輩が行きそうなところ。

私の中の、心当たり。

そんなの…………たった、一つだけだ。