* * *
「…………ん、」
どれくらい、時間が経っただろう。
目を閉じていた私は、毛布に包まったままいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
昨日は緊張していてほとんど眠れなかったから、身体が眠ることを優先したんだ。
それにしても、こんな時でも眠れるなんて、私も随分と逞しい奴だ。
もしかして、案外、このまま何事もなかったように、今日という一日を終えることができるのかもしれない。
未だに、ぼんやりとした頭を連れて、私はふと窓の外に目をやった。
相変わらず外は雨が降っていて、景色を灰色に染めている。
というか、今は一体何時なんだろう?
もしかして、結構長い時間寝ちゃってた?
そんなことを考えながら、私はテーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯電話を手に取った。
チカチカとランプの灯る携帯電話を確認してから真っ黒な画面をタップする。
そうすれば、時刻は午前11時を指していて、わかっていても肩を落とさずにはいられなかった。
「あ…… ユリからメールきてる。あとは……メルマガと、あれ……?」
けれど、携帯電話を指でなぞって通知を一つ一つ確認した時。
思いもよらない場所から電話が掛かってきていることに気が付いて、私は滑らせていた指と目を、画面の中央でピタリと止めた。