「─── 着いたよ」


目的の場所には雨先輩の言うとおり、10分もしない内に辿り着いた。

永遠に終わらないと思っていた長い階段を上り終えれば、予想外の達成感に包まれる。

思わずこの場に座り込んでしまいたくなったけど、足元いっぱいに散らばる黄金色の葉を見て、やっぱり膝に手を置く形で疲れきった体を支えた。

もう、しばらくは絶対イヤ……。というか、次に雨先輩に寄り道に誘われたら、絶対に断ろう……


「ほら、美雨。こっちだよ」


けれど私が心の中で、そんな決意を固めていれば、不意に雨先輩の弾んだ声が私を呼んだ。

それに顔を上げるより先に再び手を掴まれて、脱力していた身体は言われるがままに、前に出た。


「そこからじゃ見えないんだ。だから、こっち!」

「ちょっと待って、雨先輩……! もう少しだけ、休ませてくださ─── 」


休ませてくださいと言い終えるより先に、引かれた腕に連れられるまま、ほんの少し開けた場所に出る。

そうして私は目の前に広がる光景に、今度こそ返す言葉を失った。