「なんだよ、こんなの……最初から、全部話してくれたら良かったのに……。死ぬのなんか、少しも怖くないし……世界から消えるって、死ぬって言ってるのと同じようなものなんだから……」
ぽつり、と。空から雨粒が落ちてきたような声色でそう言った雨先輩の手は震えていた。
死ぬのなんか、少しも怖くない。
そう言った雨先輩の言葉に、胸が震える。
だって私は知っているから。死ぬって、とても怖いことで、とても恐ろしいことだって。
本当は、怖くて怖くて堪らない。
だけどそれを言葉にすれば、足元から崩れ落ちてしまいそうになるから、必死に強がっているだけだ。
「─── 雨宿りの、星たちへ」
「……っ、」
ゆっくりと。確かめるように、その言葉を口にすると、悲しみに濡れた雨先輩の瞳が大きく揺れた。
それと同時に、雨先輩の震える手にそっと自分の手を重ねれば、黒に滲んだ瞳に私の顔が映り込む。
ねぇ、雨先輩。もしも、この手紙に書いてあることが事実なら。
雨先輩のおじいさんが、雨先輩のお母さんの未来と一緒に見たという" 輝かしい、星たちの未来 " があるとするのなら。
それはきっと、私の勘違いでなければ───