彼女には、どれだけ感謝しても足りません。僕はこの手紙を、そんな彼女に託そうと決めています。

然るべき時が来るまで開けずに、きみが大切なものをしまう場所へとしまっておいてと、そう伝えて。

そして今、僕が書いたこれをきみたちが読んでいるということは、彼女が " 今 " が、その然るべき時であると判断したからなのだと思います。

きっと今、きみたちは若かりし日の僕のように悩み、苦しみ、数々の困難といった雨に打たれていることでしょう。

それでも必死に未来を掴もうと、迷い込んだ小さな屋根の下から、二人で空を眺めているのだろうと思います。

僕は世界から消えようとしている今、娘の未来と一緒に、そんなきみたちの未来を見たのです。

輝かしい、星たちの未来を見たのです。

これはきっと、奇跡です。今日まで必死に生きた僕に、神様がくれた最後の奇跡なのだと思います。


いいですか。
僕から言えることは、たった一つです。


きみたちも、どうか最後まで生きることを諦めないで。

最後まで、自分たちの未来を諦めないでください。

過去を変えることはできないけれど、未来は自分次第で変えることができるのです。

それが、現在(いま)を生きる僕たちへ平等に与えられた希望の光なのだということを、どうか、いつも忘れないでください。


─── まだ見ぬ未来に届く、その日まで。

必死に生きた " 今 " こそが、きみたちの " 明日という名の未来 " をつくるのだから。