「昨日の雨、凄かったね。ミウ、大丈夫だった?」


朝、学校に着くなり声を掛けてきたのは、クラスメイトで友達のユリ。

彼女は今日も長い黒髪を高い位置で結いて、揚々と揺らしている。


「大丈夫じゃないよ、もう最悪。雨の中、自転車で帰って制服はずぶ濡れだし……スカートも、未だにちょっと湿っぽい」


溜め息混じりに答えれば、ユリが「私も、結構濡れたよ、最悪だよね」と笑みを零す。 


「でもさぁ、昨日の朝の天気予報では一日晴れだって言ってたのに。ホント、天気予報って当てにならないね」


言いながら、私の隣の席に腰を下ろしたユリを視界の端に捕らえて──

私は、昨日の自分が、同じことを思った時の景色を思い出した。