「─── それで、二人は付き合ってるの?」
「……っ、け、ケホッ、ゴホッ!」
正面にお母さんが座り、私の隣に雨先輩が座るという図式で、今まさに「いただきます」と、手を合わせようとしたところ。
そこへ唐突にそんなことを尋ねられ、私は水の入ったグラスを手に、盛大に咽てしまった。
「やだ、ミウったら汚いわね」
「お、お母さんが急に変なこと言うから!!」
慌ててお手拭きの袋を開けて口元を押さえれば、お母さんは慣れた手つきで紙ナプキンを取り水の零れたテーブルを拭いていく。
「だって、トキさんが二人は最近仲良くなったらしいって言うんだもの」
「な、なんでそれだけで、付き合ってるってことになるの!?」
「えぇー、高校生の男女が仲良く相手の家族のお見舞いに来てたら、そうなのかなって思うじゃない。だって、自分にとって特別じゃない子を大切な家族に、わざわざ会わせようなんて思わないわよ。ねぇ、ソウくん?」
その問いに、ギクリと肩を揺らして隣を見た。
そうすれば私と同じくオムライスを頼んだ雨先輩が、スプーンを持ったまま顔を赤くしながら固まっていて、私は今度こそ逃げ場を失った。