「何しに来たんだよ……まさか、慰めに来たとか言うんじゃないだろうな」



だけど、腰を下ろせば案の定吐き出されたのは酷く棘のある言葉。

思わず苦笑いを零してから緩く首を左右に振ると、私は窓の外に視線を戻す。



「……心配だったから、ここに来ただけ」

「は……?」



思っていることを素直にタクちゃんへと伝えれば、タクちゃんは怪訝そうに眉根を寄せて私を見る。

タクちゃんが今、何を考えているのか。

タクちゃんの悲しみの全てを私が理解することはできないし、下手に歩み寄ろうとしても更に辛辣な言葉を渡されるだけかもしれない。

だけど私は、タクちゃんを放っておくことができなかった。

心配だったから、タクちゃんを追い掛けた。気が付いたら、トキさんの病室を飛び出していた。

ただ、それだけだった。

逆を言えば、それだけしかできないんだ。

タクちゃんからすれば、こんなの余計なお世話かもしれない。

ついでにウザイって言われるかもしれないけど、本当だから仕方ない。



「同情とか、そういうのウザいから」

「……今まさに、それを言われると思ってたとこ。でも、残念ながら、同情とかしてないよ」

「嘘つくな。だったら、どうして追いかけてきたんだよ。どうせ、俺のことをまた可哀相だと思ったから追いかけてきたんだろ。そんな理由で傍にいられる方が、俺は何倍も─── 」

「私、このままだと2日後に死ぬんだよね」

「─── は?」

「雨先輩に未来を見てもらったら、今度の月曜日に死ぬってことがわかったの」